『Tetro』 (2009年、コッポラ)


『Tetro』を観てきました。


日本未公開なのでストーリーが分からない程度にしながら、私の気になっていた「モノクロ映画」としての感想をメモ。















そもそもこの作品を観ようと思った理由の1つは、これが白黒映画だと聞いたから。


ちらっと観たテレビに映っていたコッポラは、モノクロ映画と言うだけで配給会社(だったかな??)が一斉に反対の声を上げた、と言っていた。


白黒映画じゃ商業的には成功できないはずという事らしい。


作品に対しても観客に対してもこりゃまぁなんと失礼な意見!!・・と憤慨した私は、観ないわけにはいかなくなってしまったのだ。















さていざ観終わると、「コッポラだし、失踪していた兄を中心とした家庭像がテーマなら観やすそうだし」という私の期待には十二分に応えてくれる映画だった。


ただ・・・この作品がモノクロで良かったのかどうかといえば、いい点もそうでない点もあった気がする。


というのも、私には「モノクロで撮られた」「最新映画」を「大画面で観る」という経験がほとんどない。


そう、私にとってモノクロ映画と言えば、ひとむかし前のものなのだ。


だから最新のモノクロ作品を体験すると、そこは白黒の画面だというのに、映し出される人や物が一切ブレず細部までキレイに収められているのが異様に感じられないでもなかった。
(「なんだかやたらめったら線の細い映像だなー」という感じ。)


そしてこの作品の場合現在がモノクロで、フラッシュバックがカラーで写しだされているのだけど、逆パターンに慣れているせいか、フラッシュバックが終わってモノクロに戻る度に、これまた違和感を感じてしまうのだった。


この映画の完成度はもちろん非常に高くて、何度か挿入されるダンスシーン(もちろんカラー)なんて非日常の空想の世界であるにも関わらず自然と受け入れる事ができるというのに・・・モノクロのせいで、現実世界のシーンに戻る度に「あぁ、そういえばこういう映画なんだっけ」と思い起こす事になり、一瞬とはいえ映画の夢から醒まされてしまう。


これはなんだかもったいない気がした。















とはいえ、さすがコッポラ!!(・・・とか言いつつ、私は実は彼の作品ほとんど知らないけど。)


単なる好みや懐古趣味のためにモノクロ映画を撮ったワケではもちろんないのだろう。


全編を通して何度も出てくる光の描写はカラーでは出来ないものだし。


それに・・・特に映画前半に見られる素朴な日常生活シーンはまるで一昔前の美しい映画の様だったし、かと思えば急によその女性達がたくさん登場してくるちと狂い気味のパーティーetcのシーンは白黒なのにあでやかで、これまた違う時代の違うジャンルのモノクロ映画を観ている様で、1本で少なくとも2回は美味しい作品になっている。















・・・そういえば・・・予備知識ほぼゼロで出かけたので、前半を観ている最中私は、これは一昔前を舞台にした映画だと思っていたのだ。


なのに途中からMacが出てきたり携帯が出てきたりで、あれっ?という感じ。


Macが出てくるあたりからストーリーも画面に映るものも変わってきたけれど、ワザとじゃないよね???


ま、いつも通りぶつぶつ書いたけど、この映画を観ようか迷っている人がいたらおススメしたい作品です。


以上、途中で起きてきた赤ん坊が「あー・あー」と言っている横(BGM・童謡)で急いで書いた感想終わり。
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