あれから1年

(写真は、なぜか太陽に向かって2度寝するポト)


ディノにとって、私との結婚はいわゆる「晩婚」。


半世紀以上独身で通し自由に生きてきた彼にとって長い間、赤ん坊の到来は「恐ろしいもの」として捉えられていたようだ。


その一方で友人たちからは結婚当時から
「ディノは子どもが生まれたらメロメロになるだろうね」
と言われていたし、ディノにとって「自分の子ども」というよりも「孫」に該当する世代の我が子を猫可愛がりしそうな気もしていた。


さて実際にポトが生まれてくると・・。











ポトは生後40日間、とにかく毎日泣き続けていた。(夜だけはよく寝てくれたけど。)


それで私はディノの頭の中に「ポト=うざったい」というイメージが焼きついてしまっては困ると、オムツ交換などはお願いしても、泣いている赤ん坊のお世話はあまり頼まないつもりでいた。


でもやはり任せざるを得ない時もあるし、ディノ本人は子どもと関わりたいみたいだった。


私はそんなディノを見てほっとしつつも、どうも不安が拭えない・・・。










ある日テレビを観ている彼にポトを見てくれる様に頼むと、いい返事が戻ってきた。


良かったと思ってお風呂場へ行ったものの、様子を見てみようと一度居間に戻ると・・・大変な事になっていた!!


ポトはディノに抱っこされてもそれだけでは満足できないのか、泣き続けている。


だけどディノはどうしてもテレビの続きが観たく、それだけは譲れないらしい。


なんと、自分の腕の中から聞こえてくる我が子のわめき声をかき消そうとして、テレビの音量をものすごく大きくしているのだ。


テレビ画面から飛び出してくる大きな音と、それに刺激されてさらに大きくなる赤ん坊の泣き声が混じった居間は耐え難い空間になっていて、私がやめてと言っても、ディノはテレビの音量を落とさずに必死に画面を見つめている。


シャワーを浴びている場合じゃないのかもと感じつつもこれ以上待てない状態だったので、赤ん坊に「ごめんね」と思いつつ、お風呂場へ戻っていった。


あぁ、早くしなきゃ・・・。


ディノ、赤ん坊に悪態をついていたなぁ。


ディノも、知人から聞いていた「父性が目覚めるまでに時間が必要」なタイプなのかなぁ・・・。










そんな風に考えていた私の耳に聞こえてきたのはディノの声・・・。


「オォ〜!なんて可愛いんだ〜!(O ! Comme tu es mignon !)」


ぶっ・・!!


赤ちゃんがよほど愛しいらしく、ディノは同じ言葉を何度も繰り返している。


この時点で、私が居間を去ってからまだ60秒。


父性は1分で更に培われたのね!!


ま、良かった良かった。










このパターンは3回ほど見た気がするけれど、その後ディノはよほどの事がない限り泣いているポトをうざがらなくなり、泣く頻度の下がった最近では同情すらしている状態(笑)。


あんなに寝るのが好きな人なのに、目覚ましが鳴ったあと2度寝しているところにポトを連れて行けばパチッと目を開けてにこにこと話しかけるし、ここ最近はポトの発する「areu」という声につきあって2人で長々とおしゃべりしているし。


新米パパライフが楽しくてしょうがない様子です(^^)










みんながディノに似ているというポトを見ていると、ディノがポトを見たり思ったりして嬉しそうにしている姿を見ると、去年義母が亡くなった事がものすごく悔やまれる。


初孫にあたるポトを、義母の大事にしていたディノにそっくりなポトを、見てもらえなかったなんて・・・と。


だけど、そういう時は義母の亡くなったほんの少し後に授かった子どもだからこそこんなにもディノに似ているのだ・・・と思うことにしている。


きっと義母がこの子をこちらに送り出してくれたのだろう、と。
(死者とこれから生まれる者とが同じ場所に居るのかどうかというと、違う気がするけどね・・・。)


妊娠が分かってから、義母が守ってくれるから大丈夫、きっと無事に元気な子が生まれてくる、と信じていたら、その通り願いが叶った。


きっとこれからも義母はこの子の側に居るのだろう。










義母が亡くなったのは1年前の今日の未明なので、私達にとっては「24日」というよりも「23日」のイメージが強い。


ディノは、私が一昨日(22日)にようやく日本大使館へ行って出生届けを提出したのがまるで時代の変わり目を象徴するかの様だという。


1年前の出来事はもうだいぶ昔のことに感じられるけれど、ここに来るまであっという間だった。
(もうとっくに30を過ぎたのだから当然?)


これからも時間はどんどん経って、ポトもすくすく大きくなっていくだろうから、義母の分も、ディノと一緒に1日1日を大切に、ポトを可愛がっていこうと思います。


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