『素晴らしき哉、人生!』 (フランク・キャプラ、1946年)


だいぶ前に主人が大好きらしいこの作品のDVDを買ってきていたので、生後一ヶ月半ぐらいだった赤ん坊を抱っこして1人で観賞してみることにしました。


息子は私にとってこの世で1番可愛く、かつ(あえて言うなら)1番迷惑をかけられている存在。


その息子に10回以上中断させられたせいもおおいにあってなのか・・・映画を見終わっても感動するというよりも、釈然としない気持ちになってしまいました。










「自分が最初から存在しなかった場合」の世界を見て、自殺を思いとどまった主人公・ジョージ(ジェームズ・スチュアート)。


彼の気持ちはよく分かる。


何しろ、彼が生きてきたからこそ親近者だけでなく街全体が幸せでいられたのだと実感できたのだから。


でも・・・このジョージって元々スーパー・ヒーロー過ぎるからねぇ・・。


私はひねくれているので、ついつい「私みたいに普通の人は、彼ほど周囲にいい影響を与えていないし」なんて、考えてしまうのです。


そしてもっとひどい事には「ジョージってば・・・これだけの人を助けてきたのね。こんなに重荷を背負わされていたら、一度ぐらい自殺を考えるのも当然かも」なんてちらっと思ったり。
(さすがにこれはひねくれすぎだって、自分でも分かっちゃいるのだけど。)


同じ「自己犠牲を払って地域に貢献」というテーマなら、黒澤明の『生きる』(1952年)の方がよっぽど共感しやすかったなぁ。


そう私は・・・ハッピーエンドの作品は好きだし町の人々が主人公の家にやってくるラストにはやはり感動したけれど、たとえば『赤ひげ』(1965年)の様に偉大過ぎる人物が出てくる作品にはなかなかついていけないのでした。


『共感できる=お気に入り映画』『共感しづらい=納得しきれない映画』という構図は幼すぎるので卒業できるのならしたいところだけど、仕方ないよね。



で、どうもスッキリしないのでネットでたくさんの人の感想を読んでみたら・・・この作品に感動した人の率の高いこと高いこと。


この殺伐としている(らしい)世の中に、この映画を好きだと言う、私よりも美しく素直な心を持った人がたくさん居るという事態を知り、それを何よりも嬉しく思いました。


これが、この映画を観ての、1番の収穫です。


(写真は8月にブローニュの森で撮影した見知らぬ方。主人いわく、息子《当時一ヶ月少々》が初めて関心を示した女性だとか。また適当なこと言って〜。)

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