もう少しこのままで・・・
いよいよ・・そろそろ・・出産するはずの時がやってきた。
なにしろフランス式に計算すると予定日は今月15日になるらしいけれど、日本式に言えば8日なのだから。
なぜ一週間のズレがあるのかはよく分からないけれど、フランス人に「予定日は15日」と伝えると、8割ぐらいの可能性で「じゃあその日までには生まれているんだね」と言われる。
フランスと日本で「予定日」の捉え方が違っているんだろうな・・。
さて今年の7月7日はディノの幼馴染ジャックがノルマンディーからパリに来ていたので、その息子ポールと一緒に我が家で夕食を食べる事になった。
彼らの帰っていった後に「明日の検診の帰りに本屋さんに寄ろう!」と思いつき、アマゾン・フランスで人気の育児本をチェックする。
そうしたら実用的な本もあれば精神面に訴えかけてくる本も有る中で、ある著作を薦めるユーザーのコメント(だったかな?)を読んで、急にテンションが下がってしまった。
赤ちゃんのメンタルケアについて書かれている本を絶賛するそのコメントは、こういった感じの事を述べていたのだ。
『生まれてきたばかりの赤ちゃんはなぜ急に寒くなったのか、自分のお腹が空いているのか、光があるのか、理解できずにとまどっています。親は、そんな赤ちゃんを優しく包んであげなくては』
・・・そ・そうだったのか・・・。
私だって、この世に「胎内回帰願望(だっけ?)」という概念が存在している事は一応知っていた。
人間はもしかしたら母親の胎内にいる時が1番心地よく、悩みもなく、幸せなんだっていう考えがあることを。
ディノと一緒になって、冗談まじりにそんな話をした事だってある。
だけど・・・私って物事を都合のいい方に考える比較的合理的な人間なんだよね。
最近はそんなこと気にせず、愛読中のマタニティ本に書かれている
『この時期の赤ちゃんはもう準備バッチリで、早く外の世界を見たいなぁと思っています』
なんていう文章をうのみにしていたのだ・・・。
でもそうか・・・生まれてきてからしばらくの赤ちゃんはパニックになっちゃうのか・・かわいそうに・・・。
誰もがあたり前に通ってきた道なのに、我が子が急に気の毒に思えてくる。
産声こそが新しく始まる生命の象徴だと考えていたのに、いまになって急に、もしやそれは『絶望の叫び(私の嘆きに同意しているディノのたとえ)』なのかと感じられる。
そもそも私は妊娠初期こそあまり感動する事もなかったものの、胎動が始まった時から急に妊娠している幸せを実感する様になり、ずっとずっと「もっとこのままでいたい」と思ってきた。
(つわりなどもほとんど無かったしね。)
そして予想外なことに、お腹が重くなった今でもその気持ちは変わらない。
だって一度お腹から出てしまったら、赤ちゃんはもう2度とここに戻って来れないんだもん。
会えるのももちろん楽しみなんだけど・・・その日がもうすぐそこにあるのが分かっている分、ついつい後延ばしにしたくなってしまうのだ。
(生まれてくる日を決めるのは、もちろん私じゃないけどね。)
もちろん肉体的に疲れたり落ちこんだりした事もあったけど、全体的にみて幸せな妊娠生活だった・・とつくづく思う。
だからもう少し続いてほしいけど2・3日前から急におヘソが飛び出してきたし、お腹もやたら張る様になってきたし、そろそろタイムリミットみたい。
あれから2晩経ってブルーがかった気持ちはふっきれてきたけれど(ここからが踏ん張りどころなのに母親がこんなんじゃダメだしね)、これでは本に書かれていた産後の「Baby Blues(日本語でなんて言うの?)」になるんじゃないかと不安を覚えてしまった私でした・・。
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