『フィツカラルド』 (ヴェルナー・ヘルツォーク、1982年)

もう一ヶ月以上前の事だけど一応書いておこう・・・。

ポンピドゥーセンターのヴェルナー・ヘルツォーク映画祭の最終夜に、『フィツカラルド』を観賞した。

この作品、カンヌで監督賞を受賞したというのも納得!

またもやほぼ満席の熱気むんむんの部屋に2時間半以上居るのはかなり辛かったのだけど、それでも映画の世界にひきこまれ・・・身体的苦痛を除けばその長さも苦にならず、むしろあっという間に時間が過ぎたのだった。







あらすじはeiga.comから引用させてもらいますね。

19世紀末の南米ペルー。未開の土地になんとか文明の光を当てようと試みては失敗を繰り返す冒険家フィツカラルド。カルーソーのオペラを聴き感激した彼は、今度はオペラハウスを建てようと決意する。資金ぐりのため、アマゾン河の奥地にゴム園を造る準備にとりかかるが、目的地まで達するには、数トンもの巨船を山越えさせなければならない。かくして、インディオたちの手を借り、7ヵ月にもおよぶ決死の山越えが敢行された。

・・・なので映画の大半は川と山で展開するし、女性の影があまり見られない(インディオの女性はたくさん写るけど)男っぽいごつごつした、私がふだん苦手とする系統の映画なのだけど、何人もの俳優に主役を降板されても実際に(CG無しで)こんな荒業をやってのけたという事実を前にしては、私も何も言えず、ただ画面に見入るのみ。

未開の土地(山の上?)にオペラハウスを建てるという意味があるんだか無いんだか分からない目的のために、傍から見れば無理な事を必死に実現させようとする主人公の狂気めいた生き方は、無茶な環境で映画を撮り続けてきたという(この『フィツカラルド』撮影中には怪我人も出たらしいし・・)監督の人生そのものなのかもしれない。

もちろん、その『狂気』をただただ延々と映し出されても観客としては困ってしまうのだけれど、『フィツカラルド』に限っては作品の完成度の高さゆえその心配も無用。

今まで観たヘルツォークの2作品は私の好みでなかったけれど、くじけずにもう一つ観てみて本当によかった!と心底思えた映画です。







『ヴォイツェック』ではファーストシーンから異様な形相で出演していて、私をぎょっとさせたクラウス・キンスキー。

(なぜか私はこの名前の俳優を「美男のはず」と思い込んでいたので、余計にショックだった・・。)

でもこの『フィツカラルド』では、少年の心を忘れないのはいいけれど計画性や現実性に欠ける大人の男を真剣に演じているのが何とも可愛らしく、容姿も『ヴォイツェック』の時とは全然違ってみえました。

ありがとうクラウス・キンスキー。

あなただけは、この撮影に最後まで耐えてくれて・・・。


ブログランキングに参加しています。
「最後まで読んだよ」の代わりにこのバナーをクリックして投票していただけると嬉しいです。
(結果はジャンプ先で見られます。)

にほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ