真実との対峙 〜時を越える妄想・・・

さようなら女の子・・。

こんにちは男の子・・・。

（どちらも診察の直前に撮っていた写真。
前者は「女の子の写真とショーウィンドーに展示されている服が可愛い」と思って撮影したのに、後者は「（中の男の子向けの服よりも）店構えが可愛い」という理由のみで撮影していたので、商品がよく見えません。
ここにも男の子と女の子に対する意気込みの違いが出ています・・。）

とっても正直な話、あと4ヶ月少々で会える赤ちゃんが男の子だという事実を、私達は喜びと共に受け入れる事ができませんでした。

（さすがにクリスチーヌの様に、「女の子じゃなかった」というショックのあまり泣いたりなんてしないけどね・・・。）

明らかに落胆してはいけないと自制してお互い控えめに話しているものの、２人ともどうしても、
「やっぱり男の子だったかぁぁ・・」
という思いが拭えないのです。

（ディノは
「『Minicarだけが子供の性別を聞いて、僕には内緒にしておく』というプランもあったけど、この様子を見る限りじゃそれは無理だったね」
と苦笑していました。）

ディノの提案で、コンコルド広場の近くにある「とらや」に行っておやつを食べる事にしました。

超音波検診をしてもらったラボはマドレーヌ寺院の近くだったのでそこから歩いたら一体何分かかるのか私には検討もつかなかったけど、考え事をするには歩くのがちょうどいい気もしたから。

足並みを揃えて進みながら、２人は頭も会話も赤ちゃんの事で持ちきりです。

私が男の子を育てるのか。

・・・って、一体どうやって？？

（これはあまり真面目な項目じゃないんだけど）とにかく、「女の子が生まれたら可愛いお洋服を着せたい」という願いが潰れたのは、すぐに分かりました。

男の子の服ってバリエーションが少なくってつまらなそうだなぁ。

そんな話をしていると、ディノが
「でもお母さんはぼくが大人になってからも、それについ数年前も、ぼくをブティックに連れて行って洋服をプレゼントしてくれたよ。
ぼくにはいい思い出だし、お母さんも楽しそうだったよ」
と、私を励ます様に言います。

と、その時ちょうど、おしゃれな紳士服のお店が私の目に飛び込んできました。

そうだねぇ・・・子供が大きくなって仕事を探す様な年齢になったら、スーツを買ってあげたりするのかしら。

こんなスーツが似合う息子がいたら嬉しいだろうなぁ。

ディノに似て鼻の高い子が産まれたら、うっとりしちゃうかもなぁ。

実は私とディノは年齢が２２歳違うので《あぁ、ついに書いちゃった！！》、私は彼の若き日の姿をあまり知らないのです。

その分、息子の青年時代を見るのは楽しいかも。

・・・・でも！！！そういえば！！！

その息子もいつかは巣立ってしまうのよねぇ、彼女だか奥さんだかを見つけて。

と、そこで今度はカフェのテラスでまどろむ若い男女が私の目に飛び込んできました。

私もいつか『姑』の立場になるのかなぁ。

いやぁぁぁーー！！！

面倒くさいし、なによりも、さびしそうじゃない・・。

私は世間一般の人と同じ様に、自分の子どもが大きくなったら最愛の人を見つけて幸せになってもらいたいと思っています。

そうしたら姑としてしゃしゃり出る事はせず、節度を持って接していかなくては・・・。

「男の子の方が母親になつくし可愛い」という話は良く聞くけれど、そんなのは人生の初めだけ。

逆に言うといいトシをした男がいつまでも母親にべったりしていたらおかしいし、その逆もいけないのです。

母親と娘の間には最初から適度に距離感があって大きくなった子供が結婚しても関係はそう変わらない気がするけれど、母親と息子の関係は幼い頃濃密で、でも子供が成長したら、母親はあまりでしゃばっちゃいけないんじゃないかしら。

これは全てあくまでイメージなんだけど、そう間違ってはいないと思います。

・・・なんだか切なそうね・・。

そう、私が女の子を欲しがっていたのは実は、「自分にとって馴染みのある性だから」というだけの理由ではなかったのです。

男の子が生まれたら世間一般に言われている様に、私も息子にメロメロになるかもしれない。

それが怖い。

私達夫婦の年齢差を考えると私は将来未亡人になる可能性が高いのだけど、その時の私はどうしているんだろう。

息子に亡き主人を重ねて、ついつい過保護で重い母親になってしまったらどうしよう・・・。

実はディノのお母さんも私の父方の祖母もそういう傾向があるので、私はそれをとても恐れているのです。

それにしても・・・男親が幼い娘を見て
「将来嫁にはやりたくない」
という発言をする事があると聞いてはいたけれど、私はこの日になって初めてその気持ちが分かった気がしたのでした。

赤ちゃんはまだ生まれてもいないのにね・・・（＾＾；

（続く）

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