夜の不法侵入者対策(前編) 〜パリってこわい?!

今年の1月23日(金)、ディノは相続の手続きのためにノルマンディーの実家に帰っていました。

その間私はパリでお留守番。

夜22時に彼と電話していると・・・家のブザーが鳴りました。

ブーッと。

(うちのブザーはこんな音なのです。)

私がディノに
「ブザーが鳴ったから様子見てくる。ちょっと待っててね。心配しないでね」
と言って電話を切る間に、ブザーはまた鳴り始めました。

しかも連続して!!

ブーッ・ブーッ・ブーッ




なんだろう、おかしいなぁ・・・と思いながら玄関に近づきました。

我が家のドアには覗き窓がついていないため、どんな人がドアの向こうに立っているのか検討もつきません。

「どなた様ですか?」
と聞いても、女性の声で
「開けて下さい」
と返ってくるだけ。

それでもしつこくしつこく何度も
「どなた様ですか?」
と繰り返し聞くと、ようやく
「C'est votre voisin(隣人です、とか、近所の者ですの意)」
の返事。

それと同時にまたしつこく
「ドアを開けて下さい」
と言ってくるので、私はつい玄関を開けてしまいました・・・。




すると、ドアの向こうに立っていたのはダッフルコートを着た30歳ぐらいのアフリカ系の女性。

この地区に住んでいる人にしては、割と地味な感じかな。

「この建物の方ですか?何階にお住まいなんですか?」
と聞くと、4階との返事。

うちの真上かぁ。

(私たちの住んでいる建物は小さくて、ゼロ階と最上階を除けば1つのフロアに1つの所帯しか無いので。)

・・・あれ??

4階にはブロンドの女の子2人組が住んでいたはずなのに。

最近静かだと思ったら、あの子達いつの間にか引っ越していたのかしら?




そう考えて
「あぁ、入居されたんですか?はじめまして!」
と言うと、ぶすっとした顔で
「はじめまして」
とのお返事・・・なんなのこの人。

ブザーは鳴らせたい放題鳴らすし、なかなか正体を明かしてくれなかったし、全てがすごく感じ悪い!!

私もさすがにむっとしてきました。




でもこの女性はそんな私の反応なんか無視して、
「実は私の家で問題が発生したのです。
ちょっとうちまで来てもらえませんか?
・・・いいえ、ゆっくり話したいのであなたのおうちに入れてもらえませんか?」
と聞いてきました。

そんなのとんでもない!!

私がはっきりと
「この時間にあなたを入れる事はできません。
お話はここ(廊下)でお願いします」
と言っているのに、しつこくしつこく何度も
「入れてください」
と繰り返す彼女。

彼女の言い分としては、妊娠中のため、じっくり話すためには座らない訳にいかないそうです。

・・・って・・・妊娠しているのは私も同じなんだけど・・・。

相手に親近感を与えるつもりにはなれないので、そこは黙っておきました。

そしてどんどん腹が立ってきたので押し問答の最中に、
「あなたはどうしてそんなに怒っているのですか?
ブザーも連続して鳴らされていたし、私は正直面喰らっています」
と(フランス風に?率直に)言ってやったのに、その点については返事がないまま・・。




何度も何度も同じ事を言い合ったあげく我が家には入れてもらえないんだと悟った彼女、今度は
「では、明日もう一度来てもいいですか?明日なら、おうちに入れてもらえますか?」
ですとさ・・・。

明日ならディノもパリに戻ってくることだし(どうせ夜遅いんだろうけど)、ディノが帰ってきてからなら、女性1人ぐらい迎え入れても大丈夫かもねぇ。

そう考えて
「明日ですか?たとえば何時ぐらい?」
と聞くと
「朝の11時」
とのお返事。

あ、だめだ・・その時間、私は確実に1人だもん。

「その時間は用事があるので都合がつきません」
と断ってから
「ところであなたの抱えている『問題』ってなんですか?
水漏れですか?」
と聞くと彼女は
「違います(水漏れじゃないです)」
と言ったあと、
「もういいです、よそのおうちにあたってみますから」
と言ってさっと背中を向け、階段を昇っていってしまいました。






・・・・この人、一体なんだったのかしら??

困っている人を助けられなかった事や自分の怒りを表面に出してしまった事に少々の苦さを感じつつも、こうするしかなかったのだからと自分に言い聞かせてディノに再度電話。

でも今起きた事を報告しているうちに、今の女性がどんどん怪しく感じられてきました。

だって・・・話はつじつまが合わないし、よくよく考えたらここ最近4階に転出・転入があった形跡もないし、この時にわかに4階がうるさくなってきたのは例のブロンドの女の子達がいつもの金曜通りフェット(飲み会みたいなもの)を開催しているからとしか思えないし・・・今の人、絶対に4階に住んでいないよね!!

しかも実はうちのマンション、去年の6月末からずっと入り口のディジコード(暗証番号を押して建物内に入るシステム)が壊れているのです。

パリの建物といえばディジコードかインターフォンがついているのが常識なのに、うちのマンションだけは24時間誰でも侵入できる状態だったから、ついに変な人に目をつけられてしまったんだわ。

あ〜怖!!

うちに入って一体何をする気だったのかは知らないけど・・・。




この日私は、決定的なミスを犯していました。

無事だったからラッキーなものの、やっぱりあの時玄関を開けず、いつまでもドア越しに話をするべきでした。

(だって・・・考えたくないけどもしもあの女性の後に数人の男が控えていたなら、押し問答の最中に無理矢理家に入られただろうし・・。)

・・・とはいえ・・・私と主人も、面識のない隣人に用事があってブザーを鳴らした事があるのだけど、やっぱりその時もドアを開けてもらえたし、「隣人です」と言われるとついドアを開けてしまうのが人情の様な気もするんだけど・・・。

でも!!やっぱりドアは開けちゃいけなかったね。

(この話を後でディノから聞いた義弟アランは
「何やってるんだ!!」
と珍しく、私に対して影で激怒したそう・・・ごもっとも・・。)




この日はかなりぞっとしながら、警告の意味で最上階に住んでいる2人の日本人の女の子に電話で今起きた事を知らせ、眠りについたのでした・・。
(続く)


応援クリックしていただけると嬉しいですにほんブログ村 海外生活ブログ フランス情報へ