赤ちゃんの名前(1)
生まれてくる赤ちゃんに、フランス名と日本名をつけるつもりの私たち。
実はディノは、赤ちゃんをさずかる前からフランス名を決めていました。
闘病生活に疲れきった義母を励まそうと、
「もしもいつかぼく達に女の子が生まれたら、お母さんの名前をつけるからね」
と言ったそうで。
義母は、ディノにとってこの世で1番長く親しんできた特別な存在。
私も彼の気持ちがよく分かるし、それからしばらくして亡くなった義母の名前が可愛らしいので、もちろん賛成。
ただ、1つ気になっていた事がありました。
・・・そして、それはどうやら的中していた様なのですが・・・。
会社の休憩時間、人事のクリスチーヌに
「赤ちゃんの名前はもう考えているんですか?」
と聞かれたので義母の名前を伝えると、彼女は遠慮がちに私の恐れていた事を指摘してくれました。
「・・・これから生まれてくる子供の名前にしては、古めかしいかもしれませんね。
その名前が最も多いのは、今40〜50代の人達だし・・」
・・・やっぱりそうか・・・そんな不安もあったんだよね。
私自身の名前がかなり古風なので、自分の子供にはある程度時代に即した名前をつけたかったんだけどなぁ。
その後はクリスチーヌと名前談義に花を咲かせ、Ken(健)ならインターナショナルだし、Thomas(冬馬)とかMarie(真理)なら日仏兼用だけど、日仏家庭に比較的多いらしい、なんていう話をしました。
そしてその日、家に帰ってからディノにクリスチーヌの意見を伝えると、彼は
「そんなの気にしなくて大丈夫だよ」
と言います。
本当かなぁ???
ちなみに私は前々から、もしも女の子が生まれたら「マドレーヌ」という名前もいいなぁと思っていました。
でもこの名前もクリスチーヌによると「年代が上すぎる」らしく、ディノに言わせると「庶民的すぎかも」しれないそうです。
いやーん、私にはそんなの分からないよ・・。
(ちなみに私が綺麗だと思っている「マリー・ローズ」も、クリスチーヌによると新生児向けではないらしい。)
こんな感じで私にはとても素敵なフランス名をつけられそうにないので、よっぽど嫌な名前でない限りはフランス名の判断を全権ディノに託してしまおうと思っているのだけど・・・クリスチーヌの一言で、本当に義母の名前をつけてもいいのかどうか不安が生じてきました。
一生ついてまわる子供の名前は、とても大事です。
世間にはディノの様な考え方の人も、クリスチーヌの様な感性の人も、それとはまた違うセンスの持ち主の人も居ます。
全員に気に入ってもらえる名前なんて有り得ないけれど、せめてディノと、せっかく意見をくれたクリスチーヌの双方に「いい」と思ってもらえるのにできたら良かったのにな・・。
でも、ディノがお義母さんに約束した以上、やっぱりあの名前にするのが1番いい選択だよね。
こんな風な考えが漠然と頭の中を行き来するまま、数日が過ぎていきました。
(続く)
ま、こんなに悩んでも、生まれてくる子は男の子かもしれないんですけどね(笑)。
写真は義母の寝室で、生前に撮りました。