母ちゃん頑張ったよ・・気分な大晦日
2008年の大晦日の朝を私はパリの自宅で、ディノはノルマンディーの実家で迎えた。
でももちろん、晩にはディノと合流する予定。
私はパリ郊外の会社からの帰りに直接サン・ラザール駅へ向かい、そこから列車に乗ってノルマンディーへ移動する事にしていたので、小型サイズのスーツケースを持って出社したのだった。
この31日は全員の仕事が特別に午前中で終了だったため時間が余り、オペラ座近くの大好きな韓国料理屋さんで1人ランチをすることに。
(上の写真は、お店のそばの4 septembreという駅の出口です。)
今年最後の仕事も終わったし、「妊娠申告書」も無事発送できたばかりだったので(1つ前の日記参照)、気分は上々♪
ちょっと久しぶりに訪れたそのお店では、石焼ビビンバを注文♪♪♪
大好物だし、数日前に他店で全然美味しくないビビンバを食べたばかりだったので、リベンジも兼ねて。
美味しくてしかも店員さんがいつもみんな感じのいいお店なので、私のテンションは最高潮。
しばらくして・・・来た来た来た!!
いかにも美味しそうなビビンバ、今日に限ってウェイトレスさんは混ぜずに向こうへ行ってしまいました。
まぁいいや、たまには自分で・・・なんて思って中身をかきまわすものの、手際が悪くてお肉がほとんど焼けていない状態に。
あちゃ〜、これはまずい!!
現代のフランスでは「トキソプラズマの抗体のない妊婦は生肉や生魚を食べてはいけない」と、さかんに言われています。
(しかも実は、食べてはいけないものは他にも多々あります・・かなしい・・。)
妊娠して以来は私もその教えを毎日厳格に守ってきました。
楽しみにしていた、毎週金曜のお寿司ランチももちろん我慢です。
だって胎児に何かが起きてから後悔しても遅いから。
なのでさっきのウェイトレスさんに妊娠中で生肉を食べてはいけない状態にあること、ビビンバをうまくかき回せなかったのでお肉が思いっきり生の状態にとどまってしまった事、お手数ではあるけど厨房で焼き直してほしい事をお願いしました。
だけどどうもこのウェイトレスさん(もちろん韓国の方と思われる)、フランス語が微妙らしい。
彼女の口から発されるのは
「でも、ビビンバっていうのはこういう食べ物ですから」
「生肉が入っているのは当然ですから」
という言葉だけ。
私はそれも知っている上で自分の迂闊さや不器用さを反省しながらもどうか焼きなおしてもらいたいと思っているのに、それが伝わらない。
同じやりとりをお互いに3回も繰り返すと、険悪な空気になってくる。
・・・・・・だけどこの状態のビビンバを食べるというリスクを犯すよりは、このお店にお金だけ払って、食べずに出てしまった方がマシ!!
意を決して
「とにかく、このままでは食べられないんです」
と言うと、ようやく焼きなおしてもらえる事になったのだけど・・・あ〜ぁ・・・しまったなぁ・・・。
これじゃ私も気分よくないし、彼女も気分よくない・・。
こんな出来事があって後ろめたくなってしまったせいか、この日のビビンバはあまり味がしなかったみたい。
(張り切ってお茶もオーダーしてたのに・・私って変なところで小心者・・。)
だけど、あそこで折れなかったのは正解だよね。
・・うん、私がんばったよ。
(と、自分を慰めてみる。)
(逆光になっちゃった・・。)
食べ終わってからかけ足気味にサン・ラザール駅へ向かいました。
列車に乗るとさすが大晦日、いつになく混んでる!!
ここが始発駅なだけに空席も全く無いではないけれど。
自分の指定席へ向かうと2人組の女の子がすでに座っています。
そして、話していると遠慮のし合いみたいになってしまい、話が進まないという事態に。
そうするとそれを聞いていた、通路を挟んで隣に座っていた高齢の女性が、私に声をかけてきました。
「もしお1人なら、私の隣にどうぞ」
うっ・・気持ちは有難いけど、この人の隣に座るのはイヤだなぁ・・。
だってこの人のひざの上、小型犬が歩いているんだもん。
トキソプラズマのリスクを回避するにはネコとの接触を極力減らすのが大事で、これはどの本にも書いてあります。
だけど私はどこかで「犬や鳥との接触も避けましょう」という文章も読んだ事がありました。
猫じゃないんだから、たぶん大丈夫・・・お利巧そうな犬だし、たぶん大丈夫・・・。
そう考えようとしても、やっぱり約3時間もヒヤヒヤした気持ちで犬の隣に座りたくないという気持ちや、万一の事が起こったら後悔してもしきれないという思いの方が強かったので、この申し出はお断りさせてもらったのでした。
「私は動物アレルギーなので」
という大ウソの元に。ごめんなさい・・。
でもトキソプラズマの話を出しても、もしかしたら
「猫じゃないから大丈夫よ」
と言われるかなって思ったし・・。
(犬を飼っている人に「でも、一説によると犬もよくないみたいなんです!!」って主張するのは余計失礼な気がしたし。)
レストランでの問答に疲れていたいので、今回はできるだけシンプルに話を進めたかったの。
そして最終的に、こんな具合に座る事になりました。
私 女の子1 (通路) 女の子2 お婆さん
これだと女の子達が離れ離れで気の毒なので私はもっとよそに席を探しに行くつもりだったのに、彼女達自身がなぜか必要以上に遠慮していて、こうすると言って聞かないので仕方なかったです・・。
大晦日の列車ってどんな感じなのかちょっと不安もあったけど、いつもより混んでいるのを除けばごく普通で、無事にディノの待つ駅に着く事ができました!
この日はなんとも驚いた事にカウントダウンの瞬間を寝て過ごしてしまったのだけど、その理由の一部にはこの一連の気疲れもあったのかもしれないなぁ・・・。
幸いな事にアクシデントは無かったけれど、今後問題が発生しない様にと色々考えて1人地味に頑張ってしまった2008年最後の日、私にとっては子供のいない最後の大晦日でした。