寒い部屋だより


(初公開、私の職場。撮影は夏なので季節感ゼロ・・・。)

日本で生活していたころ私はよく、周りから
「薄着だねー、寒くないの?」
と訊かれていた。

そう、私は冬生まれのせいか「暑いよりは寒い方がマシ」という感覚なので、いつもついつい薄着で出かけてしまっていたのだ。

(荷物が増えるのもイヤだし。)

でもなぜかフランスに来てからはそういった指摘を受けることが少なくなったので、てっきりトシとともに体質が変わったのかと思っていた。

パリは東京よりも寒いから真冬には私だって完全防備して、それでも
「寒い。寒い」
と連発しているんだものね。




ところが7年ぶりに働き始めて初めて迎えたこの冬に、私は実は相変わらず寒さに対する耐久性が高い事が判明した。

私が働いている建物では、その構造のせいか半数近くの人が個室で仕事をしている。

私もその例にもれず、訪問者は多いものの一人部屋。

なので暖房(上の写真)を点けるも消すも私次第、強さの調整も私次第。

日本のマタニティ本には「妊婦は体を冷やさない様に」と書かれているので、自分の体感温度的には必要ないと感じても、ちょっと大げさ目に暖房をつける様に心がけていた。

・・・なのに・・なのに・・ある日ロベールに言われてしまった。

「この部屋は寒いですね。(外気がたくさん入ってきている)廊下とそう変わらないかも?」

「え、そうかな??」
と言いつつも、内心動揺する私。

まずい、体を冷やしてしまったかもしれない。

それにそう言われると、なんだか本当に肌寒い気がしてきた。

慌てて強度を3から9に変更する。

それでも寒い。

暖房の前に貼り付いてみたりして・・・。

ここで初めて
「そうか・・この部屋って実はさっきから寒かったんだ・・」
と気づく。




それ以来も来る人来る人に「寒い」と言われ続ける私の部屋。

・・どうやら私は寒さに強いのではなく、寒さ感知センサーが壊れているみたい。

だって、いつもそう指摘されると本当に寒い気がしてくるんだもん。

(一応書いておくと私が他の人よりも寒さに強い理由には、毎日必ずブーツを履いているからというのもあると思うのだけど。)




12月のある日、ジェネラル・ディレクターも同じ事を言った。

「この部屋って外と同じ気温・・??」

(そんな大げさな!!)

その頃の私は実は、このMさんと雑談をする度に心の中で葛藤をしていた。

私の妊娠を、私の直属の上司から聞いているはずのMさん。

だけど、この件について触れてきた事は1度も無い。

やっぱり、いくら被雇用者の権利が手厚く守られているフランスでも、彼からしたら働き出して間もない私の妊娠は困った事態なんだろうなぁ・・。(当たり前なんだけど。)

だからって、このまま自分から何も言わないのも嫌。

でも一体どうやって切り出したらいいんだろう??




そんな私に、Mさんがもう一言。

「とにかく、寒さには気をつけて風邪をひかない様に。
健康が大切なんだから」

・・・!!

こうして気にかけてもらっている以上、やっぱり今言おう!!




と、こんなきっかけがあって、私は改めて自分からMさんに妊娠報告をできたのでした。

もう少し仕事に慣れてからと思っていたのにいきなりですみませんと謝ると、
「でも、助かりましたよ。予定日は(比較的ヒマな)夏なんだから」
と言ってくれたMさん。

そして
「この会社には女性が多いんだから、産休の人が居るのには慣れてますよ(=だから気にせずに)」
とも言ってくれたMさん。




彼の最初の一言でまたもや「寒い」という事実に気づかされたけれど、心は温かくなった出来事でした。


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ちなみに・・・今年の冬は本当に寒い!!
さすがの私も途中から観念して、暖房を入れっぱなしで帰宅する様になりました。
(これが、フランス的冬の過ごし方です。
その方が一時的に集中して暖房を入れるよりも経済的なんだとか。
今まではどうしてもそれが「もったいない」気がして感覚的についていけなかったけど、私は写真の通り角部屋なので本当に寒くて、フランス生活8年目にしてようやくこのやり方を受け入れるに至りました・・。)