フランソワーズ・アルディのサイン会(中編2)
待ちに待った、私の番がやってきました。
遠くから見ている時にも思ったけど、アルディって肉眼で見る方がテレビで見るよりももっともっと素敵だわ。
ジャックの直後だったのが、それともジャックの知り合いだと分かったのが、そうでなければ私がこの会場ではほとんど見かけないアジア人だったのが幸いしたのかな?
(集まっているのはほとんどが白人でした。)
会場が押せ押せの雰囲気でほとんど話せない人も居た割には、私は一応会話ができたのです。
ボンジュールの挨拶を交わした後に名前を聞かれ(本に書いてもらうためです)、下の名を伝えます。
私の名は日本のものだから、もちろんスペルも。
・・・だけど・・あれ???
少々不安そうながらも、アルディのペンはまるで私の説明に先立つかの様にさらさらと進んでいます。
この名前をすでに知っていたのかな??
「『○○子』という名前をご存知なのですか?」
と聞くと
「昔、日本からの特派員にこの名前の方がいたと思うの」
とのこと。
小さなことだけど、ちょっと嬉しい♪
一世代半前の人に多いこの名前は響きがあまり好きじゃなかったけど、今日だけはラッキーな気分。
私はこの日、せっかくアルディに会えるのだから何かを伝えたいと思っていました。
『長くなくて、つまらなくない話』として思いついたのは、『私がアルディを聴く事になったきっかけ』。
日本で暮らしていた私世代の人がどうやってアルディに興味を持つに至ったのかは、本人にしても『全く興味がない』訳ではなかろうと踏んだのです。
「私はあなたの歌う曲が大好きです。
あなたの歌を初めて聞いたのは、日本で通っていた大学の教授がフランス語の時間に『男の子と女の子』をかけてくれたからです」
「あら、そう」
「それからあなたのCDを何枚も買い、何度も何度も、交互に繰り返し繰り返し聞きました!!
正直を言うと私はあの曲をそれほど好きな訳ではないので、あの授業の後にどうしてCDを買おうと思い立ったのか今となっては分かりませんが、やはり何か惹かれるものがあったのだと思います(*注1)」
私が思っているままのことを素直に言うと、
「そう・・それを聞いて嬉しいわ」
という言葉が返ってきました。
(注1)
「あの曲をそれほど好きではない」というのは日本的な観点からすると失礼な言い方だけど、「あなたの他の曲の方がもっと好きなんです」というニュアンスさえしっかり伝わっているなら、フランス的にはOKだと思います、たぶん。
あぁ、私は言いたい事を言い切った!!
これ以上伝える事は思いつかないし、あとはジャックにアルディとのショットを撮ってもらえば今日は完璧!!
そう考えているところで後の黒服から
「もう下がってください」
という言葉が聞こえてきたので急いで彼に声をかけます。
「ジャック、撮って!!」
アルディも私の掛け声を意識してジャックの居る方に顔を向けてくれているのに・・・ジャックってば!!
ここまであからさまにテンパっている人を、私はほとんど見た事がありません。
(やたら早口の時の主人を除き。)
ジャックは私のサイバーショットを両手で自分の顔の前に据えているのだけど、その手は4メートルほど離れたここから見てもびっくりしてしまうぐらい、緊張に震えているのです!!
だ・だ・だ・・・大丈夫??
その異常なまでの震えのせいで、彼はなかなかシャッターを押せない模様。
ジャックのその様子はコミカルですらあったけど、後ろから急かされているので焦りもあって、この数秒がかなり長く感じられました。
それでも彼はなんとか撮影してくれたので、私はアルディにお礼を言い、壇から降りました。
ジャックに合流すると、すぐに謝られる。
「ごめんね。
手の震えが止まらなかったから、今の写真ダメだったと思う・・」
う〜ん、どうかな。
カメラの調整の仕方が分かっていない私だけど、この会場に入って以来サイバーショットは絶好調なんだよね。
運が良ければ大丈夫かも。
またもや長くなってしまったので続きはまた明日にします。
ふだんは出来るだけ長文にならない様に心がけているのだけど、このイベントでの出来事は端折れないのに気づいたので(^^;
ちなみに上の写真が、この日にもらったサイン。
「Pour ○○○(私の名前) tres amicalement」
と書かれています。
ここまでは解読できるけど、サインの方は不可能に近いです(笑)。
「Hardy」って書いてあるのかな?