フランス女性と母乳/ミルク育児(4)
フランスにおける母乳育児信仰が(日本に比べて)極端に低いのには驚いたけれど、働く女性が多い国においては当然のことなのだろう。
私はハーフタイム勤務なので何とか母乳育児を続ける事ができているけれど、フルタイムの仕事に復帰した場合、完全母乳育児を1年近く続けるのは奇跡に近い。
もしもド根性と周りの理解があれば仕事の合間合間で休憩を取って搾乳できるのかもしれないけど・・・それってすごく大変なこと。
仕事のスピードも落ちるし、母乳育児ってすごく体力を消耗するからだ。
フルタイムの仕事をしながら子育てをするだけでも神業に近いものがあるというのに・・・。
私なんて半日しか働いていないうえ、主人も育児と家事に参加してくれているし最近は子どもも1人遊びをする様になったけど、それでも毎日クタクタだ。
妊娠中に増えた13kgがあっという間に戻った後も私の体重は減り続け、体重計は私がこの13年間見た事の無かった数字を示すようになっている・・・。
そう、母乳育児って結構大変なのだ。
母乳育児にはもちろん楽な点もたくさんある。
それは下準備や後片付けが無く、出先でも場所さえ確保すればさっと授乳できてしまうこと。
でもその一方で大変な事といえば・・・まず日本の育児本によると、食べ物に相当気をつけないといけないらしい。
脂っぽいものや甘いものは乳腺の詰まりの原因になるし母乳の味も落ちるので、極力控えなくてはならない。
こちらとしては日々激しく体力を消耗しカロリーも消費しているのだから手軽に食べれるものをたくさん摂取したい訳で、下準備が必要でしかも空腹時には食べがいの少ないお米や野菜ばかりに頼るわけにもいかないのだけど・・・う〜ん、辛い。(最近はこれすら無視して好き放題食べてますが・・。)
ちなみにフランスでは、そんな話は聞いたことがない。
母乳育児をしたいのならアレルギー源になりやすいピーナツ類を避ければいい、との事だった。
この隔たりはそれぞれの体質によるものなのか、それとも母乳育児の長さの違いによるものなのかは分からないけれど・・・アニエスの母乳が3ヶ月したら出なくなったというのも、意外にこれが原因だったりして、なんて私は思ってしまう。
母乳育児が重視されていない分、指導もあまり充実していないフランスだから。
私がもうひとつ大変だと思ったのは、母乳育児って一見経済的に見えても、乳腺の詰まりで病院にかかってしまうと、診察費などが高くつく事。
たとえば「痛みも赤みも無い詰まり」を抱えた私は、もしかしたら癌かもしれないと思って色々と検査をしてもらったので、300ユーロ以上かかってしまった。
(これからセキュリテ・ソシアル《まだ一部しか適用されていないので》とミュチュエルでどの位戻ってくるのか、見ものです。)
働きながら主婦業をこなすのって、大変なこと。
フルタイムで勤務しながら子育てをするとなると、なおさらだ。
どこかで割り切りも必要になってくる。
そう思うと、母乳育児にこだわらない人がフランスに多いのにもすごく納得しちゃうな。
1番最初に書いた通り、マタニティ本も助産婦さんもが口裏を合わせたかの様に「母乳を与えたくない人は、それでいいんですよ」と述べていたのにはやっぱりちょっと違和感を感じなくはないけれど・・・でももしかしたら、プレママ達に不必要な罪悪感を与えないための配慮なのかもしれないし。
最後に、ここまで読んだ方の中にはフランスで母乳育児をしようとしている人もいるかと思うので、1つだけアドバイスらしきものを書いておきます。
フランスにはいわゆる「母乳マッサージ」が無いみたいなので(もしも「あるよ!」という方いたら、教えてください・・)、乳腺が詰まり気味になってきた時に備えて葛根湯を常備しておくといいですよ。
私は出産後6ヶ月以上してから日本の家族から送ってもらったのだけれど、確かに効くので、もっと前に頼んでおけばよかったなとちょびっと後悔しました。
(ネット上の情報だと『葛根湯』にも色々あるらしいので、薬屋さんに『授乳中でも飲める葛根湯』と指定して購入してください。)
ちなみに・・・フランスの専門家によると、私の右胸のしこりはこのまま放っておいていいそうです。
飲むべき薬も無ければ、マッサージの必要もない、とか。
でも私としては
「えええ??じゃあ、私はこのしこりを一生抱えたまま生きていくの?それで大丈夫なの??」
と、結構不安。
(日本語でネット検索したら「何とかするべきなのでは?」と思わされる情報もあったし。)
やっぱり、フランスは日本に比べて母乳ケアが薄いのかもしれませんね。
次回帰国時に桶谷式マッサージに行ってみる事にします・・・・。